山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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雨淋と鈴

2019.11.22

雨淋鈴夜卻帰秦

猶是張徽一曲新

長説上皇垂涙教

月明南内更無人

 

七五八年生まれの張祜(ちょうこ)の「雨淋(うりん)と鈴」。雨淋は長雨。

 

■読みと解釈

雨淋鈴夜卻帰秦

雨淋と鈴の夜に卻(かえ)って秦(しん)に帰り

[(玄宗皇帝は)長雨の音と馬の鈴音が聞こえる夜に帰って来なくてもいいのに長安に帰って来て]

 

猶是張徽一曲新

猶(な)お是(こ)れ張徽(ちょうき)の一曲は新たなり

[それでも張徽の演奏した「長雨と鈴」の曲は初めから終わりまで新鮮で生き生きしている]

 

長説上皇垂涙教

長く上皇(じょうこう)は涙を垂(た)れて教えしを説き

[張徽は玄宗皇帝が涙を流し教え込んでくれたことを長く語り伝え]

 

月明南内更無人

月は明らかにして南内(なんだい)には更に人無し

[月が明るく照っている今夜は興慶宮には誰一人いない]

 

 

■注目点

詩題の「雨淋と鈴」に注目。「雨淋と鈴」は曲名。張徽が玄宗皇帝のために演奏した曲。首都長安が陥落されたので、玄宗皇帝は楊貴妃を伴い、蜀へ逃げる。途中、楊貴妃は死を賜る。

「雨淋と鈴」の曲は涙を流す玄宗皇帝に教え込まれた曲。教え込まれたまま、張徽は生き生き演奏する。

張徽が涙を流し演奏する夜、玄宗皇帝は蜀から長安へ帰って来る。玄宗皇帝はどんな思いで「雨淋と鈴」を聞いたのか。楊貴妃は今はいない玄宗皇帝…。

 

《PN・帰鳥》