山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

雑なる詩

2019.11.15

無定河辺暮笛声

赫連台畔旅人情

函関帰路千余里

一夕秋風白髪生

 

唐の陳祐(ちんゆう、生没年不明)の「雑なる詩」。特定の題はなく、無題詩に近い。

 

■読みと解釈

無定河辺暮笛声

無定河(むていが)の辺(あた)りには暮れの笛の声

[無定河の岸辺に日暮れ時の笛の音が響き]

 

赫連台畔旅人情

赫連台(かくれんだい)の畔(ほとり)には旅の人の情

[赫連台の傍らにいる旅の人の情はやり切れぬ]

 

函関帰路千余里

函関(かんかん)に帰る路は千余里にして

[ここから函谷関まで帰る路は千里余りあり]

 

一夕秋風白髪生

一夕(いっせき)の秋の風に白髪生ず

[ひと晩吹いた秋の風で白髪が生えてしまった]

 

 

■注目点

無定河、赫連台、函谷関の題材に注目。無定河は中国東北部の河。定めの無い河の意で暴れ河。不安な思いをかきたてる。赫連台は中国東北部に外敵匈奴の赫連が築いた高殿。函谷関は秦国が河南省に築いた険峻な関所。

作者の陳祐は無定河、赫連台から函谷関へ帰る。西から東へ帰る。その間の距離は千里余り。遥か彼方遠い距離。函谷関へ帰るとは、この関所を越えて首都長安へ帰る、あるいは古里へ帰る、ということになる。

何日もかけ長安へ古里へ帰る旅人。旅人は秋風に吹かれ、ひと晩で白髪が生える。旅人の心中は痛み悲しむ。

詩題は「雑なる詩」。こんな題でこんな詩を詠むとは。

 

《PN・帰鳥》