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胡の渭州

2020.01.24

亭亭孤月照行舟

寂寂長江万里流

郷国不知何処是

雲山漫漫使人愁

 

唐の張祐(ちょうゆう、生没年不明)の「胡(こ)の渭州(いしゅう)」。胡は蛮族。渭州は地名。

 

■読みと解釈

亭亭孤月照行舟

亭亭(ていてい)たる孤月(こげつ)は行舟(こうしゅう)を照らし

[高く聳える一片の月は進み行く小舟を照らし出し]

 

寂寂長江万里流

寂寂(せきせき)たる長江は万里に流る

[もの寂しい長江は万里彼方に流れ行く]

 

郷国不知何処是

郷国(きょうこく)は何(いず)れの処(ところ)か是(こ)れなるを知らず

[私の古里はどこが古里なのか判らず]

 

雲山漫漫使人愁

雲山(うんざん)は漫漫(まんまん)として人をして愁えしむ

[雲の懸かる山がずっと続き私を愁えさせる]

 

 

■注目点

詩題と内容との関係に注目。詩は長江を下る長い舟旅を詠み、一刻も早く古里に帰りたいが、帰れぬ寂しい思いを述べる。起句の亭亭、承句の寂寂、結句の漫漫の畳字。三つの畳字に思いを託し、起句の孤月、承句の万里にも思いを託す。

詩としては工夫が見られるが、題の「胡の渭州」と詩の内容はどう関わるのだろう。作者張祐の古里は蛮族の地にある渭州なのだろうか。張祐の古里は確認できぬ。蛮族の渭州かも知れぬが、そうではないかも知れない。渭州ではないとしたら、題と内容の関わりは判らない。長江は蛮族の地ではない。どう考えればいいのか。残念ながら解答はない。

 

《PN・帰鳥》