山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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疎陂駅に宿す

2020.01.17

秋染棠梨葉半紅

荊州東望草平空

誰知孤宦天涯意

微雨瀟瀟古駅中

 

唐の王周(おうしゅう、生没年不明)の「疎陂駅(しゅはえき)に宿す」。疎陂駅は駅舎の名。位置は不明。

 

■読みと解釈

秋染棠梨葉半紅

秋は棠梨(とうり)を染めて葉は半ば紅(くれない)にして

[秋の季節は棠梨(なし)の葉っぱを染めて半分は赤く色づき]

 

荊州東望草平空

荊州(けいしゅう)をば東のかた望めば草は空に平らかなり

[荊州の東の方角を遠く眺めると草叢が空に接している]

 

誰知孤宦天涯意

誰か知らん孤宦(こかん)は天涯(てんがい)の意にして

[誰も判ってはいない天の果ての寂しい思いで独り役人をし]

 

微雨瀟瀟古駅中

微雨は古駅(こえき)の中に瀟瀟(しょうしょう)たるを

[そぼ降る雨が古びた駅舎の中にしょぼしょぼ降っているのを]

 

 

■注目点

王周の心情に注目。秋の夜に古びた疎陂駅に宿泊した王周。王周は天の果ての思いを抱えた孤独な役人。周囲の草木の変化に孤独な役人の心情を託し、加えてしょぼしょぼ降る雨にも託す。

孤独な役人。孤独とは独りぼっち。頼る人がいない。見放された人。寂しい人。寂しさを支えてくれる人。それは古里の人。しょぼしょぼ降る秋の雨の夜。王周は東の方角の古里を遠く眺める。眺めるが草木が邪魔して見えぬ。古里の人にも支えてもらえぬ王周。どうしようもない王周。棠梨や草、瀟瀟たる微雨。この風景に王周の心情を託す詩。こんな詩だろう。

 

《PN・帰鳥》