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涼州の詞

2019.10.18

鳳林関裏水東流

白草黄楡六十秋

辺将皆承主恩沢

無人解道取涼州

 

七六八年生まれの張籍(ちょうせき)の「涼州(りょうしゅう)の詞」。涼州は甘粛省。

 

■読みと解釈

鳳林関裏水東流

鳳林関(ほうりんかん)の裏(うち)の水は東に流れ

[鳳林関の中では水が首都長安の方の東に向かって流れており]

 

白草黄楡六十秋

白き草や黄の楡(にれ)は六十の秋(とき)なり

[涼州には白い草や黄の楡があり六十年間も吐蕃に占領されている]

 

辺将皆承主恩沢

辺将(へんしょう)は皆な主の恩沢を承(う)くるも

[辺境の将軍たちは一人残らず皇帝の恩恵を受けているのに]

 

無人解道取涼州

人の涼州を取るを解道(かいどう)するもの無し

[誰一人涼州を取り戻そうとは解っていない何たることか]

 

 

■注目点

鳳林関の任に注目。鳳林関は甘粛省の関所。関所の水は首都長安とを結び、その地が戦場となる。戦いの場となる涼州には白い草や黄の楡があり、六十年もの間、外敵に占領されたまま。何とかならぬか。

皇帝の恩恵を受けている外敵と戦う最前線の将軍たちよ。恩恵に応えるべく、外敵を討ち破り倒さねば…。六十年もの長い間、外敵に占領されたままの涼州。その地を取り戻そうとしないのは将軍たちだけではなく、皇帝もそうなのかも…。皇帝もそうだと断言できぬ作者。作者の憤りは頂点に達しているのでは…。鳳林関の水は何のために長安に向かって流れているのか。涼州と長安は繋がっているが、心は繋がっていないのか。

 

《PN・帰鳥》