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李判官の潤州の行営に之くを送る

2020.02.21

万里辞家事鼓鼙

金陵駅路楚雲西

江春不肯留行客

艸色青青送馬蹄

 

七〇九年頃生まれの劉長卿(りゅうちょうけい)の「李判官(りはんがん)の潤州(じゅんしゅう)の行営(こうえい)に之(ゆ)くを送る」。李は姓。判官は軍や街を司る地方長官。潤州は長江下流の地。行営は陣営。

 

■読みと解釈

万里辞家事鼓鼙

万里家を辞し鼓鼙(こへい)を事(こと)とせんとし

[万里彼方家を出て攻め太鼓の仕事をしようとして]

 

金陵駅路楚雲西

金陵(きんりょう)の駅路(えきろ)は楚雲(そうん)の西よりす

[楚の国に懸かる雲の西を発ち金陵の街道に向かう]

 

江春不肯留行客

江春(こうしゅん)は行客(こうきゃく)を留(とど)むるを肯(がえんぜ)ずして

[長江の春は李判官を引き留めることを承知せず]

 

艸色青青送馬蹄

艸色(そうしょく)は青青として馬蹄(ばてい)を送る

[草の色は青青と茂って李判官の乗る馬の蹄を送る]

 

 

■注目点

劉長卿の思いに注目。

李判官の任務は国家を守備する大仕事。仕事先は長江下流。西方の楚の国を発ち、長江を下り、金陵に向かう。距離は遠く長い。季節は春。擬人法の長江の春、草の色は、作者劉長卿の恨みや怒りを無視し、李判官を送る。結句の七字と詩題「送李判官之潤州行営」を重ねると「送」の主語が結句では「艸色」、詩題では作者劉長卿。主語の違いに劉長卿の深い恨み怒りの思いを込める。

 

《PN・帰鳥》