山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

曾山にて別るるを送る

2019.11.29

凄凄遊子苦飄蓬

明月青樽祇暫同

南望千山如黛色

愁君客路在其中

 

唐の皇甫冉(こうほぜん、生没年不明)の「曾山(そうざん)にて別るるを送る」。曾山は上海の南の山。

 

■読みと解釈

凄凄遊子苦飄蓬

凄凄(せいせい)たる遊子は飄蓬(ひょうほう)に苦しむも

[落ちぶれ疲れ果て旅する君は風に吹かれて転がる蓬のように苦しんでいるが]

 

明月青樽祇暫同

明月に青樽(せいそん)をば祇(た)だ暫く同じくせん

[明るい月の下で清んだ酒樽を飲みせめて暫くなりとも一緒にいたい]

 

南望千山如黛色

南のかた千山を望めば黛(まゆずみ)の色の如(ごと)く

[南の方角を遠く眺めると幾重にも重なった山々が黛の色のように青黒く]

 

愁君客路在其中

君が客路(かくろ)は其の中に在るを愁う

[君の行く路がその山々や青黒い中にあることを思うと愁い悲しくてならない]

 

 

■注目点

別れる人を見送る皇甫冉の思いに注目。別れる人名も目的地も不明。某氏を見送る所が上海南の曾山。作者から見る某氏は落ちぶれ飢え疲れている。まるで風に吹かれて転がる蓬。次にこの某氏といつ逢える。今が最後かも。作者は明月の下で酒を交わす。別れの酒かも。切ない切ない別れ。

目的地は不明だが、方角は南方。南方を見ると、黛のような青黒い山々。不気味な色の山々。その山々を越えぬと目的地へ行けぬ。作者は愁い悲しむ。別れ行く某氏は大任を果たさねばならぬ旅であろう。見送る作者は某氏に深い深い思いを寄せる。

 

《PN・帰鳥》