山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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山房の春の事

2020.03.20

梁園日暮乱舞鴉

極目蕭条三両家

庭樹不知人去尽

春来還発旧時花

 

七一五年生まれの岑参(しんじん)の「山房(さんぼう)の春の事」。山房は山中の家。

 

読みと解釈

梁園日暮乱舞鴉

梁(りょう)の園は日暮れて乱舞(らんぶ)する鴉(からす)

[孝王の造った梁の庭園は日が暮れて今は鴉が乱れ飛び]

 

極目蕭条三両家

目を極(きわ)むれば蕭条(しょうじょう)たり三両家(さんりょうか)

[辺りを見渡すともの寂しく家が二、三軒あるだけ]

 

庭樹不知人去尽

庭の樹は人の去り尽(つ)きたるを知らざるも

[目の前の庭園にある樹は人が死んだことを知らぬが]

 

春来還発旧時花

春来たれば還(ま)た旧時(きゅうじ)の花を発(ひら)けり

[春が来ると昔同様にまたまた花が咲いている]

 

 

注目点

庭園の様子に注目。岑参は孝王が造った荒廃した梁の庭園を見て、人間界の無秩序を思い嘆く。

孝王の世は豪華な街だったろうが、今見えるのは二、三軒。二、三という軒数は寂しさが強まる。

岑参が見た山の中の庭園が、孝王の造った物と同じだったか否かは不明。同じ物だったかも知れぬが、姿形を変えていたかも知れない。

山房の房には寺の意がある。孝王が造って約八五〇年後、庭園は寺になっていたかも知れない。庭園ではなく寺だとすると、岑参は別の思いがしたかも知れない。この詩の製作時期は不明なだけに明確にできない。

 

《PN・帰鳥》