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嘉陵の駅

2019.12.06

悠悠風旆遶山川

山駅空濛雨作烟

路半嘉陵頭已白

蜀門西更上青天

 

七五八年生まれの武元衡(ぶげんこう)の「嘉陵(かりょう)の駅」。嘉陵は今の四川省。駅は宿屋。

 

■読みと解釈

悠悠風旆遶山川

悠悠(ゆうゆう)たる風旆(ふうはい)は山川を遶(めぐ)り

[ゆったりと風に靡く旆(はた)が山や川を取り囲み]

 

山駅空濛雨作烟

山の駅(えき)は空濛(くうもう)として雨は烟(もや)と作(な)る

[山の中の嘉陵の宿場はぼんやりと雨が烟となっている]

 

路半嘉陵頭已白

路は嘉陵に半ばなるも頭は已(すで)に白く

[道程は嘉陵まで半分なのに頭はとっくに真っ白で]

 

蜀門西更上青天

蜀(しょく)の門は西のかた更に青天に上れり

[蜀へ入る門は西方に今までよりも青空に上っている]

 

 

■注目点

嘉陵の宿場に注目。嘉陵は路の半ばだから、路がもう半ば残っていることになる。出発地は恐らく首都長安で、目的地は蜀。長安を出て蜀まで半分の嘉陵まで来た武元衡は感慨にふける。

半ばの嘉陵まで何日要した。難所に難所。疲労困憊。蜀は西の方角。西の方角は高峻な方角。太陽が沈む方角。天に昇る方角。西方浄土の方角。天は青空。

自分の姿形をじっと見る武元衡。見ると頭は真っ白。黒毛はない。全て白毛。蜀へ着いた時は毛はなくなる。武元衡は落ち込む。蜀へ行くのは旅ではなく、重い任を果たすためでは…。死を覚悟して蜀へ行くのでは…。

 

《PN・帰鳥》