山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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同前に和し奉る

2020.03.27

一月主人笑幾囘

相逢相値且銜杯

眼看春色如流水

今日残花昨日開

 

唐の崔恵童(さいけいどう、生没年不明)の「同前に和し奉る」。前と同じ題の詩に唱和し奉る。前と同じ題の詩とは崔敏童(さいびんどう)の「城東の荘に宴す」。荘は別荘。

 

読みと解釈

一月主人笑幾囘

一月に主人の笑うは幾囘(いくかい)ぞ

[一か月の間に主人が笑うのは何回あるのか何回もない]

 

相逢相値且銜杯

相(あ)い逢い相い値(あ)えば且(しばら)く杯を銜(ふく)まん

[お互いに出会ったからにはまあまあ一杯飲むことにしよう]

 

眼看春色如流水

眼に看る春色は流水の如(ごと)くして

[眼でじっと見守っている春の景色は流れる水のようで]

 

今日残花昨日開

今日(こんにち)の残花(ざんか)は昨日(さくじつ)は開きしを

[散り残った今日の花は昨日は開き咲き誇っていたのを]

 

 

注目点

「同じ題」の詩を詠むことに注目。崔敏童「城東の荘に宴す」は引用しないが、両詩を比べると、両詩ともよく似ている。

人間の寿命は短いのだから、春を楽しんで酒を飲もうということ。崔敏童は一年と百歳の時間を対比し、本詩では今日と昨日の時間を対比する。両詩とも何回もないことを言うのに反語形の幾囘を用い、崔敏童は酔うことが幾囘もなく、本詩では笑うことが幾囘もないことを言う。それを言うために使われる題材が花と酒である。息の合った詩である。

 

《PN・帰鳥》