山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

令狐郎中に寄す

2020.01.31

嵩雲秦樹久離居

双鯉迢迢一紙書

休問梁園旧賓客

茂陵秋雨病相如

 

八一二年生まれの李商隠(りしょういん)の「令狐郎中(れいころうちゅう)に寄す」。令狐は姓。郎中は役人。

 

■読みと解釈

嵩雲秦樹久離居

嵩雲(すううん)と秦樹(しんじゅ)は久しく離居するも

[嵩山の雲と秦の樹とは長く別れ別れに住んでいるが]

 

双鯉迢迢一紙書

双鯉(そうり)は迢迢(ちょうちょう)たり一紙の書

[二匹の鯉が遥か遠くから一通の手紙を届けてくれた]

 

休問梁園旧賓客

旧(もと)の梁園の賓客(ひんきゃく)に問うを休(や)めよ

[昔の梁園の客人の安否など問うのは止めてくれ]

 

茂陵秋雨病相如

茂陵(もりょう)の秋雨に病める相如(しょうじょ)なり

[茂陵の秋雨に濡れ病に罹っているのは司馬(しば)相如だから]

 

 

■注目点

複雑な詩作に注目。本詩は李商隠の私生活を詠む複雑な作。

李商隠は令狐楚(れいこそ)に厚遇されるが、令狐楚の死後、反対党の男にくら替えし、その男の娘と結婚したので、令狐楚の息子の令狐綯(れいことう)に憎まれる。後に令狐綯から近況を問う手紙を受け取った李商隠は本詩を作り手紙に答えた。

令狐綯から近況を問う手紙を受け取り、嬉しかったに相違ないが、自分の心境を漢の世の孝王に厚遇された文人賓客と、漢の武帝に寵愛された司馬相如に準え返礼した。

巧みな手法で恩返しする李商隠の作。

 

《PN・帰鳥》