九日の宴
2019.06.28
秋葉風吹黄颯颯
晴雲日照白鱗鱗
帰来得問茱萸女
今日登高酔幾人
唐の張諤(ちょうがく)の「九日(きゅうじつ)の宴」。張諤の生没年等は不明。
■読みと解釈
秋葉風吹黄颯颯
秋の葉に風の吹きて黄は颯颯(さつさつ)として
[秋の葉に風が吹きつけ黄色い葉は音を立てて散り]
晴雲日照白鱗鱗
晴るる雲に日の照りて白は鱗鱗(りんりん)たり
[晴天の雲に日が照り輝いて白色の雲は鮮やかで美しい]
帰来得問茱萸女
帰り来たるに茱萸(しゅゆ)の女に問うを得たり
[帰って来る途中に茱萸を身につけた女に聞くことができた]
今日登高酔幾人
今日高きに登りて幾人(いくにん)を酔わしめしかと
[今日小高い丘に登って何人の者を酔っ払わせたかと]
■注目点
作者の心境に注目。
作者の張諤は風が吹き、葉が散り、日が照り、雲が鮮やかな九月九日、小高い丘に登り、帰って来る。帰って来る途中、茱萸を身につけた女に逢う。
張諤は女に「何人酔っ払わせたか」と問う。女の答えはない。
なぜ張諤は女に問うた? 茱萸を身につけていたから。茱萸は邪気を払う代物。張諤も茱萸の女に酒を勧められて酔っ払い、全ての心配事が忘れたかったから。九日の酒宴に恨みを残す張諤。
《PN・帰鳥》