山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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鹿柴

2011.07.15

空山不見人
但聞人語響
返景入深林
復照青苔上

 

六九九年ごろ生まれの王維(おうい)の「鹿柴(ろくさい)」。鹿柴は鹿を囲う柵。

 

■読みと解釈
空山不見人
空山(くうざん)人を見ず
[ひと気のない山には人の姿は見えず]

 

但聞人語響
但(た)だ人語の響くを聞くのみ
[ただ人の話し声が響くのが聞こえるだけ]

 

返景入深林
返景(へんけい)は深林に入り
[夕日の光が深い林に射しこみ]

 

復照青苔上
復(ま)た照らす青 苔(せいたい)の上
[そして青い苔の上を照らしだす]

 

 

■注目点
静寂な風景。その詠み方に注目。
前の二句は、人の姿は見えないが、人の話し声は聞こえる。
見はみようとしてみるのではなく、うつる、みえるのです。
聞もきこうとしてきくのではなく、かんじる、きこえるのです。
人の話し声が聞こえるのは、静寂だからです。喧噪ならば聞こえません。
後の二句は、夕日が入って、そして照らす。
入は外から中へうつる動きです。
照は遠くから近くへ光をあてる動きです。
夕日が深い林に入って、青い苔を照らす。夕日の赤、深い林の黒、苔の青。この色彩は前二句の静寂な風景を盛り上げます。
王維の詩には画があり、画には詩がある。そう言われています。この「鹿柴」。まさにそうです。

 

《PN・帰鳥》