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魏三を送り別れる

2018.11.23

酔別江楼橘柚香

江風引雨入船涼

憶君遥在湘山月

愁聴清猿夢裏長

 

六九〇年頃生まれの王昌齢(おうしょうれい)の「魏三(ぎさん)を送り別れる」。魏三は魏家の同世代の年齢三番目。経歴は不明。

 

■読みと解釈

酔別江楼橘柚香

酔うて江楼(こうろう)に別るれば橘柚(きつゆう)は香しく

酔って長江沿いの高殿で別れると蜜柑や柚子は芳しく

 

江風引雨入船涼

江風(こうふう)は雨を引き船に入(い)れば涼し

長江の風は雨を引き寄せ船の中へ入れると寒く冷たい

 

憶君遥在湘山月

君を憶(おも)いて遥かに湘山(しょうざん)の月に在りて

貴君を心に憶い遥か遠く湘山の月に対峙しており

 

愁聴清猿夢裏長

愁いて清猿(せいえん)を聴けば夢の裏(うち)に長からん

夢の中で清き猿の鳴き声を愁い聴き入るのは長いだろう

 

 

■注目点

魏三を見送る作者の情に注目。

作者が魏三を見送る所、魏三が行く所。それは何処?

作者が魏三を見送る所は長江沿いの高殿。別れの杯を交わし、酔っている。季節は晩秋。風が吹き降りしきる雨。

酔った魏三は船に乗り込み、別れて行く。二人の情は冷たく寒い。

魏三と別れた作者は、眼前の湘山の晩秋の月を眺める。湘山は魏三が行く所では?

酔いも回り、夢に澄んで悲しい猿の鳴き声を聞く作者。

送別時も送別後も悲しく辛いのが作者の情。

 

《PN・帰鳥》