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高殿の芙蓉楼で友人の辛漸を送る

2013.11.08

寒雨連江夜入呉

平明送客楚山孤

洛陽親友如相問

一片冰心在玉壷

 

六九〇年?生まれの王昌齢(おうしょうれい)の「高殿の芙蓉楼(ふようろう)で友人の辛漸(しんぜん)を送る」詩。

 

■読みと解釈

寒雨連江夜入呉

寒雨は江に連なりて夜には呉(ご)に入る

[冷たい雨が長江に合流し夜には呉に入る]

 

平明送客楚山孤

平明に客を送れば楚山(そざん)は孤なり

[夜明けに旅人を送ると楚の山は独りぼっち]

 

洛陽親友如相問

洛陽(らくよう)の親友如(も)し相(あ)い問わば

[洛陽の親友がもし問うたならば]

 

一片冰心在玉壷

一片の冰心(ひょうしん)は玉壷(ぎょくこ)に在りと

[一片の清い心は玉の壷の中に在ると(答えるがいい)]

 

 

■注目点

辛漸を送る王昌齢の心境に注目。

王昌齢は今、辛漸と芙蓉楼のある楚にいる。辛漸は楚を離れ舟に乗り呉に向かい、最終的には洛陽に行くのです。

冷たい雨が夜に呉に入るとは辛漸のこと。楚の山は独りぼっちとは王昌齢のこと。辛漸の心境を雨に譬え、王昌齢の心境を山に譬える。冷たい雨、独りぼっちの山。ともに寂しさを想像させます。

洛陽に着いた辛漸に王昌齢の心境を尋ねる親友がいたら、心は冰のごとく清らかで、玉の壷の中で暮らしている。そう答えてくれと言います。

冰心と玉壷。この語が王昌齢の心境です。俗に染まらず、爽やかで清々しい心境です。

 

《PN・帰鳥》