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首都長安の早春

2015.11.06

詩家清景在新春

緑柳纔黄半未匀

若待上林花似錦

出門倶是看花人

 

七七〇年生まれの楊巨源(ようきょげん)の「首都長安の早春」。

 

■読みと解釈

詩家清景在新春

詩家の清景(せいけい)は新春に在り

[詩人の好きな清らかな景は新春にあり]

 

緑柳纔黄半未匀

緑の柳は纔(わず)かに黄にして半ば未だ匀(ととの)わず

[緑の柳の芽は少し黄でまだまだ不十分]

 

若待上林花似錦

上林(じょうりん)の花の錦に似るを待つが若(ごと)きは

[上林苑の花が錦になるのを待ち受け]

 

出門倶是看花人

門を出て倶(とも)に是(こ)れ花を看る人ならん

[俗人はみな門を出てその花をじっと看る]

 

■注目点

詩人と俗人の違いに注目。

この詩には詩人と俗人が登場し、詩人と俗人は好むものが違う。

詩人の好むもの。新春の清らかな景。具体的には柳。柳は春の木だが、色は黄→緑→白と変化し、春を彩る。詩人が好むのは緑ではなく、黄がわずかに見え、柳としては半ばで不十分。芽吹いたばかりの柳。詩人が好むのはこれです。

俗人の好むもの。上林苑の花。上林苑は首都長安にある、皇帝直々の庭園。財をつぎこみ、天下の草花が満杯。それでなくても美しい花が、春になると五色の錦に変わる。俗人は錦の花を好むのです。

詩人の好むものは清らかさ。俗人の好むものは華やかさ。同じ人間なのに関心事が異なる。ここに注目。

 

《PN・帰鳥》