山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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韋評事を送る

2019.03.08

欲逐将軍取右賢

沙場走馬向居延

遥知漢使蕭関外

愁見孤城落日辺

 

七六一年に亡くなった王維(おうい)の「韋評事(いひょうじ)を送る」。韋は姓。名は不明。評事は下級裁判官。

 

読みと解釈

欲逐将軍取右賢

 将軍を逐(お)いて右賢(うけん)を取らんと欲し

 [匈奴(きょうど)の右賢王を捕らえようと将軍の跡を追い]

 

沙場走馬向居延

 沙場(さじょう)に馬を走らせ居延(きょえん)に向かう

 [砂漠に馬を走らせ目的地の居延に向かう]

 

遥知漢使蕭関外

 遥かに知る漢使(かんし)は蕭関(しょうかん)の外にして

 [私には遥か遠くにいて判る 韋評事が蕭関の外まで行くと]

 

愁見孤城落日辺

 愁いて孤城(こじょう)の落日の辺(あたり)を見るを

 [孤立した街に沈む夕日の辺りを愁いて見ているのが]

 

 

注目点

 韋を見送る王維の心境に注目。

 韋はどこへ行くのか。兵士として外敵の匈奴と戦いに行く。送る所は首都長安。行く先は匈奴の地の蕭関。長安から蕭関へ。

 初めの二句は現実の句。韋の意気満々を讃える。後の二句は想像の句。韋の意気消沈を悲しむ。

 手柄を立てようと戦場に向かう兵士。命の保証のない兵士。殺すか殺されるか。これが兵士の宿命。戦いを前にする韋。家族、古里、王維のこと。戦いを前にあれやこれや思う。孤城の落日を見て、あれやこれや思わずにはいられない韋。王維は韋の胸中を想像する。

 匈奴を倒すことができたのか。王維は何も言わぬが、気になる。

 

《PN・帰鳥》