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雪の朝、驢馬に乗り秦淮に立ち寄る

2012.02.17

満江飛絮不勝寒
繍閣無人起倚欄
只有風流驢背客
秦淮暁色雪中看

 

永井禾原(かげん)。一八五二年生まれ。題は「雪の朝、驢馬に乗り秦淮(しんわい)に立ち寄る」。秦淮は南京の歓楽街。

 

■読みと解釈
満江飛絮不勝寒
満江の飛絮(ひじょ)寒さに勝(た)えず
[川いっぱい降り続く雪 寒さに我慢ならぬ]

 

繍閣無人起倚欄
繍閣(しゅうかく)には人の起きて欄に倚(よ)る無し
[飾りたてた高台には眼が覚め欄干に寄り添う女は一人もいない]

 

只有風流驢背客
只だ有るは風流驢背(ろはい)の客のみ
[いるのは驢馬の背に乗った風流な客人だけ]

 

秦淮暁色雪中看
秦淮の暁(あかつき)の色をば雪中に看る
[秦淮の朝の景色を雪降る中じっと見ている]

 

 

■注目点
秦淮は中華民国の首都、南京の歓楽街。その歓楽街に大雪が降る朝。その描写に注目。
首都の歓楽街なので男女の遊び場もある。しかし、今は大雪。
飛絮は風に飛び散る柳の花。それを雪に譬える。飾りたてた繍閣。そこにいるのは男を待つ女。大雪の朝なので、欄干に姿を見せない。大雪の朝の歓楽街は名ばかり。
こんな日でも、歓楽街には人がいるのです。驢馬に乗った風流な客人。その客人、何を隠そう。作者自身です。人っこ一人いない大雪の歓楽街の朝。作者はその景色をじっと見ています。どんな思いで見ているのでしょう。
作者永井禾原の父は永井荷風です。

 

《PN・帰鳥》