山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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雪に逢いて芙蓉山の主人に宿る

2014.12.19

日暮蒼山遠

天寒白屋貧

柴門聞犬吠

風雪夜帰人

 

七〇九年生まれの劉長卿(りゅうちょうけい)の「雪に逢いて芙蓉山(ふようざん)の主人に宿る」。芙蓉山は各所にあり特定しがたい。芙蓉は蓮のこと。

 

■読みと解釈

日暮蒼山遠

日暮れて蒼山(そうざん)は遠く

[日が暮れて青々と草木の茂った山は遠く見え]

 

天寒白屋貧

天は寒く白屋(はくおく)は貧し

[空は冷え冷えとして寒く粗末な小屋は貧しい]

 

柴門聞犬吠

柴門(さいもん)に犬の吠ゆるを聞く

[柴造りの粗末な門辺りで犬の遠吠えが聞こえる]

 

風雪夜帰人

風雪に夜 帰る人

[風や雪が舞う吹雪の中帰って来た人がいる]

 

 

■注目点

劉長卿の心境に注目。

旅の途中の詩でしょうか。劉長卿は風雪に遭遇する。夜の宿を探す。一軒の宿を見つけ、宿の主人に頼み、一夜を明かす。

青々と茂った山。それが芙蓉山。宿は芙蓉山の麓にあるのか。歩き疲れ、ようやくたどり着いた宿。ほっとする安心感。

たどり着いた宿は、家とは言えぬ、殺風景な小屋。心細い不安感。

門とは言えぬ門。長く尾を引く犬の遠吠え。なぜ鳴いているのか。募る不安感。

こんな中、誰か宿に帰って来た。帰って来たのは誰。定まらぬ不安感、疑念。

見知らぬ地で、不安な夜を過ごす旅人。今もなおある?

 

《PN・帰鳥》