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雁を聞く

2010.11.19

故園渺何処
帰思方悠哉
淮南秋雨夜
高斎聞雁来

 

詩の題は「雁(かり)を聞く」。雁は渡り鳥。作者は韋応物(いおうぶつ)。七三七年ごろの生まれ。

 

■ 読みと解釈
故園渺何処
故園は渺(びょう)として何(いず)れの処(ところ)ぞ
[古里ははるか遠くいったいどこなのか]

 

帰思方悠哉
帰思(きし)方(まさ)に悠(ゆう)なる哉(かな)
[帰郷の思いは今まさに果てのないことぞ]

 

淮南秋雨夜
淮南(わいなん)秋雨(しゅうう)の夜
[ここ淮南の地に秋の雨が降る夜]

 

高斎聞雁来

高斎(こうさい)に雁の来たるを聞く
[高殿の書斎には渡って来た雁の鳴き声が聞こえてくる]

 

 

■ 注目点
故園、帰思、雁。この三者のつながり。注目点はここ。
季節は秋。時刻は夜。雨が降っている。場所は淮南。淮南は長江下流域の南方の地。
作者は今、淮南の高殿の書斎にいる。高殿。それは立派な建物。作者は役人かもしれない。
作者の古里は黄河中流域の長安。時の首都。
作者は淮南から、はるか遠い長安へ帰りたいと思う。その思いは果てしない。季節は秋。雨の夜。帰郷への思いは募るばかり。
このとき、作者は雁の鳴き声を耳にします。雁。と言えば、手紙を運ぶ鳥。雁は長安からの手紙を持っているのでは。長安への手紙を雁に託したいのだが。作者はそう思うのです。

 

《PN・帰鳥》