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隴西の行

2014.12.12

誓掃匈奴不顧身

五千貂錦喪胡塵

可憐無定河辺骨

猶是春閨夢裏人

 

唐代の陳陶(ちんとう・生没年不詳)の「隴西(ろうせい)の行(うた)」。隴西は甘粛(かんしゅく)省南東の地。都長安から西方へ向かう交通路。

 

■読みと解釈

誓掃匈奴不顧身

匈奴(きょうど)を掃(はら)わんことを誓い身を顧みず

[わが命を顧みず匈奴を滅ぼそうと誓った]

 

五千貂錦喪胡塵

五千の貂錦(ちょうきん)は胡塵(こじん)に喪(うしな)う

[五千の豪華な軍服着の兵士は匈奴の塵となり死んだ]

 

可憐無定河辺骨

憐(あわれ)むべし無定河(むていが)の辺(あた)りの骨は

[かわいそうだ 無定河の辺りの骸骨が]

 

猶是春閨夢裏人

猶(な)お是(こ)れ春閨(しゅんけい)の夢の裏(なか)の人なるを

[春の夜部屋で妻が夢に見る夫であるのは]

 

 

■注目点

戦死した夫を思う妻の心境に注目。

登場人物は豪華な軍服着の兵士と留守居の妻。兵士は将軍級で妻の夫。戦死した。

将軍級の夫は、五千の兵士と共に外敵の匈奴全滅を誓い、命を賭して隴西の地へ突進。

外敵全滅どころか、逆に自軍全滅。隴西の地で塵となり散った。

隴西を流れる、定め無き河、と言う名の無定河。不気味な名の無定河には、五千の兵士の骸骨。骸骨の一つは夫。妻は夫の骸骨を夢に見る。ごみ同然、無残な姿になった夫。憐れに思い、苦悶し、眠れぬ妻。

 

《PN・帰鳥》