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隠者を尋ぬるも遇わず

2011.07.08

松下問童子
言師採薬去
只在此山中
雲深不知処

 

七七九年生まれの賈島(かとう)の「隠者を尋ぬるも遇(あ)わず」。隠者は世俗を捨てて隠れている人。

 

■読みと解釈
松下問童子
松下にて童子(どうじ)に問うに
[松の木の下で子どもに問うたところ]

 

言師採薬去
師は薬を採りに去れりと言う
[先生は薬を採りに行かれたと言う]

 

只在此山中
只(た)だ此の山中に在らんも
[この山の中におられるに違いなかろうが]

 

雲深不知処
雲深くして処(ところ)を知らず
[雲が深くて居場所は分からない]

 

 

■注目点
隠者の暮らしに注目。
作者は隠者を尋ねたが、会えなかった。これが詩の題。会えなかった隠者。どんな暮らしをしているのでしょう。
前二句は、作者が童子に問い、童子がそれに答えて言っている。この問答からすると、童子が師と呼ぶその人は隠者のことで、童子は師の世話係でしょう。
隠者は世話係の童子がいる暮らし。
隠者は薬を採りに行く暮らし。不老長寿の薬草でしょうか。
隠者は松の木がある暮らし。松の木は常緑樹で、長寿の象徴とされる。
隠者は山の中の暮らし。深い雲に包まれた暮らし。
山の中と言い、深い雲と言い、世俗から遠く遠く離れた場所。
隠者に会えなかっただけに、隠者の暮らしが気になります。

 

《PN・帰鳥》