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陶者

2014.05.09

陶尽門前土

屋上無片瓦

十指不霑泥

鱗鱗居大廈

 

一〇〇二年生まれの梅堯臣(ばいぎょうしん)の「陶者(とうしゃ)」。焼き物を造る人。

 

■読みと解釈

陶尽門前土

門前の土を陶(や)き尽くすも

[家の門の前の土をすべて焼き尽くしたが]

 

屋上無片瓦

屋上には片瓦(へんが)無し

[家の屋根の上にはひとかけらの瓦すらない]

 

十指不霑泥

十指は泥に霑(ぬ)れずして

[十本の指は全く泥で濡れないで]

 

鱗鱗居大廈

鱗鱗(りんりん)たる大廈(たいか)に居る

[美しい立派な豪邸に住んでいる輩がいる]

 

 

■注目点

作者の主張に注目。

作者は陶者の立場で、この詩を詠んでいる。

陶者は泥まみれになり、瓦を焼く職人。朝から晩まで、汗水垂らし、働き続ける職人。

出来上がった瓦。自分の家の屋根には一枚もない。かけらすらない。泥の臭いもない。

出来上がった瓦はどこへ行く。泥まみれにならない豪邸の屋根へ。何枚も何枚も敷き詰めている。

働いても働いても貧乏な陶者。働かなくても富裕な富豪、役人。この矛盾、不条理を衝く。作者の主張はここにあるようです。

陶者の話を二つ。一つは瓦造りは粗悪だが、伝説の時代にはあったとか。一つは三国時代の男が「死んだら陶者の側に葬ってくれ。百年後には土となり、その土で徳利を造るように」と遺言したとか。

 

《PN・帰鳥》