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除夜の作

2012.12.28

旅館寒灯独不眠
客心何事転悽然
故郷今夜思千里
霜鬢明朝又一年

 

七六五年に亡くなった高適(こうせき)の「除夜の作」。大晦日の夜の作品です。

 

■読みと解釈

旅館寒灯独不眠
旅館の寒灯(かんとう)独(ひと)り眠らず
[旅館の明かりは寒々とし独りきりで眠れずにいる]

 

客心何事転悽然
客心(かくしん)何事ぞ転(うた)た悽然(せいぜん)たる
[旅にあるわが心はどうした事か寂しさが増してくる]

 

故郷今夜思千里
故郷 今夜 千里を思う
[大晦日の今夜 私は千里先の古里を懐かしんでいる]

 

霜鬢明朝又一年
霜鬢(そうびん)明朝又(ま)た一年
[白髪の私は明日の朝また一つ年を取ることになる]

 

 

■注目点
一年の最後の夜を旅先で迎える。白髪の年齢で、しかも独りで。ここに注目。
わが家の明かりならばそう感じないのに、寒々と感じると言います。そう感じるのは大晦日、夜、旅館、独り、眠れないからでしょう。
普段でもそうだが、大晦日の夜は格別。寂しさが一段と増す。そのために眠れない。
眠れず横になり思うことは二つ。一つは千里彼方の古里にいる親兄弟のこと。一つは夜が明けると、年を取り白髪が増えること。
高適のこの思い。今の世にもある。人の情は変わらぬようです。

 

《PN・帰鳥》