山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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長安の道

2017.04.07

鳴鞭過酒肆

袨服遊倡門

百万一時尽

含情無片言

 

七〇七年生まれの儲光羲(ちょこうぎ)の「長安の道」。

 

■読みと解釈

鳴鞭過酒肆

鞭(むち)を鳴らして酒肆(しゅし)に過(よ)ぎり

[馬の鞭を鳴り響かせて酒場に立ち寄り]

 

袨服遊倡門

袨服(げんぷく)して倡門(しょうもん)に遊ぶ

[盛装して遊女と遊び惚ける]

 

百万一時尽

百万は一時に尽(つ)きしも

[大金は瞬時に使い果たしたが]

 

含情無片言

情を含みて片言(へんげん)無し

[情は胸の内に秘めひと言も口にしない]

 

 

■注目点

主人公の言動に注目。

舞台は唐の首都長安。繁華な道筋の歌。

主人公は男。馬に乗り、激しく鞭を叩き、長安の道を走る。叩くのは馬を速く走らせるため。馬に乗ることができるのは、庶民ではない。富豪か貴族か。老人ではない。若者。

盛装した若者の行き先は酒場。酒場には酒は勿論、遊女もいる。酒に歌や舞が加わり、俄かに和気藹藹。遊びは頂点に達する。

若者の懐には、常に百万の大金。大金が瞬時に消える。金に飽かす日々。飲めや歌えやの大騒ぎ。最高潮。

ところがこの若者。感情は胸の内に秘め、大金が瞬時に消えたことや、遊女と遊び惚けたことは、一切沈黙。

放蕩息子だが、放蕩を口にせぬ。これが貴族の若者。若者を讃えているのか。

 

《PN・帰鳥》