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長安の主人の壁に題す

2012.08.31

世人結交須黄金
黄金不多交不深
縦令然諾暫相許
終是悠悠行路心

 

七二一年生まれの張謂(ちょうい)の「長安の主人の壁に題す」。題すは書きつける。

 

■読みと解釈
世人結交須黄金
世人は交わりを結ぶに黄金を須(もち)い
[俗人は交際するのに黄金を必須とし]

 

黄金不多交不深
黄金多からずんば交わりは深からず
[黄金が多くないと交際は深まらない]

 

縦令然諾暫相許
縦令(たと)い然諾(ぜんだく)して暫く相(あ)い許すとも
[かりに(黄金を必須としない交際を)承諾し暫く了解し合っても]

 

終是悠悠行路心
終(つい)に是(こ)れ悠悠(ゆうゆう)たる行路の心
[結末は道端ですれ違ったような疎遠な関係になってしまう]

 

 

■注目点
交際と黄金との関係に注目。
俗人の交際は黄金を必須とする→黄金が少ないと交際は深まらない→かりに黄金が動かない交際を始めるとする→結末は赤の他人の関係となる。
人と人との交際は黄金ではない。心と心、情と情でなくてはならない。張謂はこう思ってこの詩を作ったのか。
張謂はこの詩を長安の主人の壁に書きつけている。長安は当時の首都。首都長安では黄金なくして交際は成り立たなかったのか。「金の切れ目が縁の切れ目」「地獄の沙汰も金次第」だったのか。
当時の人々の交際のあり方を揶揄する。この詩の意図する所は、ここにあるのでしょうか。

 

《PN・帰鳥》