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長城

2013.12.20

秦築長城比鉄牢

蕃戎不敢過臨洮

雖然万里連雲際

争及堯階三尺高

 

唐の汪遵(おうじゅん)の「長城」。秦の始皇帝(しこうてい)が築いた万里の長城。

 

■読みと解釈

秦築長城比鉄牢

秦(しん)は長城を築き鉄牢(てつろう)に比し

[秦の始皇帝は長城を築き鉄の堅さと競い]

 

蕃戎不敢過臨洮

蕃戎(ばんぞく)は敢(あ)えて臨洮(りんとう)を過ぎず

[外敵は決して臨洮に近づかなかった]

 

雖然万里連雲際

万里雲際(うんさい)に連なると雖然(いえど)も

[長城が万里のかなた雲の辺りまでつながっていても]

 

争及堯階三尺高

争(いかで)か堯階(ぎょうかい)の三尺の高きに及ばん

[堯の三尺の土階段にはとても及ばぬ]

 

 

■注目点

万里の長城に対する作者の評価に注目。

始皇帝の築いた長城の長さは万里。約二四〇〇キロメートル。高さは雲間に連なる。金城鉄壁。臨洮は長城の西の起点。虎視眈々、秦国侵略を狙う外敵は、乗り越えることのできぬ代物。作者は金城鉄壁の長城を讃える。

讃えるその長城を堯の階段と比較する。堯は伝説時代の聖天子。堯のいる宮殿の土階段の高さは三尺。約一メートル。

二四〇〇キロメートルの始皇帝の長城と一メートルの堯の土階段。わずか一メートルの土階段で、堯は天下を治めることができた。作者は質素粗末な土階段を讃える。

作者が真に讃えるのは土階段で、長城は謗るのです。

 

《PN・帰鳥》