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長信の秋の詞

2019.03.22

真成薄命久尋思

夢見君王覚後疑

火照西宮知夜飲

分明複道奉恩時

 

 六九八年生まれの王昌齢(おうしょうれい)の「長信(ちょうしん)の秋の詞(うた)」。長信は皇太后の居所で西宮とも言い、漢の世の成帝の母と成帝の寵愛を失った班婕妤(はんしょうよ)が住んでいた。

 

読みと解釈

真成薄命久尋思

 真成(しんせい)に薄命なるを久しく尋思(じんし)し

[本当に不幸せな女だとあれこれ何時までも思い巡らし]

 

夢見君王覚後疑

 夢に君王に見(まみ)ゆるも覚(さ)めて後に疑う

[夢で君主様にお目にかかったが覚めた後は夢だったのかと疑う]

 

火照西宮知夜飲

 火は西宮(せいきゅう)を照らして夜飲(やいん)を知り

[明かりが女の居る長信宮を照らし夜を徹しての酒宴だと判った]

 

分明複道奉恩時

 分明なり複道(ふくどう)にて恩を奉ぜし時

[君主専用道路で寵愛を頂戴した時のことははっきりしている]

 

 

注目点

 題材に注目。

 長信宮の秋の様子を詠む題材を句ごとに拾うと、薄命、君主、西宮、複道であろう。四つの題材は薄命と西宮が、君主と複道が重なるだろう。西宮に居る薄命と、複道を使う君王。王昌齢は二人を対比し詠む。

 薄命。それは不幸な女。女の名は班婕妤。君主。それは幸福な男。君主の名は成帝。幸福極まりない男と不幸極まりない女。成帝の寵愛を得たのは夢のこと。失ったのは現のこと。班婕妤の夢と現を詠む。

 

《PN・帰鳥》