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鍾山の即事

2012.04.13

澗水無声繞竹流
竹西花草弄春柔
茅簷相対坐終日
一鳥不啼山更幽

 

一〇二一年生まれの王安石の「鍾山(しょうざん)の即事」。鍾山は南京にある山。即事は目の前の事。

 

■読みと解釈
澗水無声繞竹流
澗水(かんすい)は声無くして竹を繞(めぐ)って流れ
[谷川の水は音もなく竹林をぐるりと流れ]

 

竹西花草弄春柔
竹西(ちくせい)の花草は春を弄(ろう)して柔らかなり
[竹林の西の花や草は春をめでて柔らか]

 

茅簷相対坐終日
茅簷(ぼうえん)に相(あ)い対して坐(ざ)すること終日
[茅(かや)ぶきの軒下で一日中向き合い座っていると]

 

一鳥不啼山更幽
一鳥も啼(な)かずして山は更に幽(ゆう)なり
[鳥ひとつ啼くでなく山はいよいよ静か]

 

 

■注目点
目の前の鍾山をどう表現するかに注目。
鍾山の近くには谷川と竹林がある。季節は春です。
谷川の春の水が音もなく、ゆっくりゆっくり竹林を囲んで流れている。静かな景です。
竹林の西側では草花が、春を謳歌して咲いている。静かな景です。
静かな春の谷川と静かな春の竹林を詠んだ後、作者が相い対したのは鍾山。一日中向き合います。茅ぶきの軒下で。茅ぶき。それは田舎の景。鍾山の辺りは田舎なのでしょう。
鍾山では鳥一羽啼かない。山全体ひっそりしている。「山更に幽なり」――静けさが一段と増します。
作者と鍾山は一体。

 

《PN・帰鳥》