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金陵の絵

2013.06.21

江雨霏霏江草斉

六朝如夢鳥空啼

無情最是台城柳

依旧烟籠十里堤

 

八三六年生まれの韋荘(いそう)の「金陵(きんりょう)の絵」。金陵(今の南京市)に都を置いた六朝時代の絵を見て詠んだ詩。

 

■読みと解釈

江雨霏霏江草斉

江雨は霏霏(ひひ)として江草は斉(ひと)しく

[長江の雨は降りしきり長江の草は一面に茂り]

 

六朝如夢鳥空啼

六朝(りくちょう)は夢の如(ごと)くにして鳥は空(むな)しく啼(な)く

[六朝の世は夢のように去り鳥は聞く人もなく啼いている]

 

無情最是台城柳

無情なるは最も是れ台城の柳なるも

[無情なのは宮城の柳が最高だが]

 

依旧烟籠十里堤

旧に依(よ)りて烟(もや)は十里の堤(どて)を籠(こ)む

[昔のままにもやが十里も続く土手に立ちこめている]

 

 

■注目点

昔の都の金陵をどう詠むかに注目。

金陵の位置は長江下流域。そこは今、雨が降りしきり、草は生い茂っている。六朝時代には繁栄した都だが、今は過去の話。鳥たちが勝手に啼いている。

昔の面影はなく、何とも寂しい金陵の絵。

寂しさはまだある。宮城に茂る柳。柳は再会を期す代物。寂しさはまだある。昔のまま土手に立ちこめるもや。昔を思い出す代物。

再会を期し、昔を思い出す代物。その絵を見れば見るほど、寂しさが募る。昔の金陵は、今は無情。

 

《PN・帰鳥》