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野蛮人を平定した曲

2017.09.29

渺渺戍煙孤

茫茫塞草枯

隴頭那用閉

万里不防胡

 

七〇九年頃亡くなった劉長卿(りゅうちょうけい)の「野蛮人を平定した曲」。

 

 

■読みと解釈

 

渺渺戍煙孤

渺渺(びょうびょう)として戍煙(じゅえん)は孤にして

[物見櫓の烽火(のろし)は遥か彼方にただ一筋にして]

 

茫茫塞草枯

茫茫(ぼうぼう)として塞草(さいそう)は枯れたり

[国境地帯の草は果てもなく枯れている]

 

隴頭那用閉

隴頭(ろうとう)は那(なん)ぞ閉(と)ざすを用いん

[隴山(ろうざん)の天辺はもはや閉鎖するには及ばぬ]

 

万里不防胡

万里(ばんり)胡(こ)を防がず

[万里四方野蛮人を遮らなくてもいい]

 

 

■注目点

野蛮人平定後の景に注目。

主な題材は戍煙と塞草。物見櫓の景は渺渺として孤。塞草の景は茫茫として枯。寂しいが穏やかな景。

題材の鍵は隴山の天辺。隴山の天辺は兵士が守らねばならぬ山。その山も閉鎖することなく、人々に開放されている。万里四方野蛮人の姿は皆無。景としては穏やかで静か。

野蛮人平定後の、寂しいが、静かで、穏やかな景。

景が静かで、穏やかなことは、人が静かで、穏やかだ、ということ。人を言うために景を言う。発想が豊か。

戦う現場ではなく、戦った後を詠み、人々の表情を感じ取る。手法が豊か。

 

《PN・帰鳥》