山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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野に歩む

2011.06.24

津頭微径望城斜
水落孤邨格嫩沙
黄草菴中疏雨湿
白頭翁嫗坐看瓜

 

一〇五二年生まれの賀鋳(がちゅう)の「野に歩む」。

 

■読みと解釈
津頭微径望城斜
津頭(しんとう)の微径(びけい)は城を望んで斜めなり
[渡し場の側の小道が遠く城壁を望んで斜めに続いている]

 

水落孤邨格嫩沙
水は孤邨(こそん)に落ち嫩沙(どんさ)に格(いた)る
[川の水は小さな村に流れ落ち柔らかな砂浜に続いている]

 

黄草菴中疏雨湿
黄草の菴中(あんちゅう)疏雨(そう)湿い
[よもぎ造りの小屋は小雨で湿ってしまい]

 

白頭翁嫗坐看瓜
白頭の翁嫗(おうおう)は坐(ざ)して瓜(うり)を看る
[白髪の老夫婦が座りこんで瓜畠を見守っている]

 

 

■注目点
詩の題は野の散歩。野歩きで見た風景に注目。
出発は渡し場。側の小道を歩きだす。小道は斜め。傾斜し坂になっている。坂の向こうに城壁が見えます。
小道の側には川がある。渡し場があった川。川の水は小さな村に流れ、柔らかな砂浜へ続いています。
歩を進めると、よもぎ葺きの粗末な小屋に会う。大雨ではなく、小雨で漏らんばかりの小屋です。
小屋の側には瓜畠。小屋の主らしい老夫婦が、瓜をじっと見つめている。瓜の番をしているのでしょうか。
野歩きで見た農村の風景。微と孤。黄と白。この対応が詩情を盛り上げます。

 

《PN・帰鳥》