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重ねて鄭錬に贈る

2019.05.24

鄭子将行罷使臣

嚢無一物献尊親

江山路遠羈離日

裘馬誰為感激人

 

七一二年生まれの杜甫(とほ)の「重ねて鄭錬(ていれん)に贈る」。鄭錬と杜甫との関係は不明。

 

■読みと解釈

鄭子将行罷使臣

鄭子(ていし)は将(まさ)に行かんとして使臣(ししん)を罷(や)めしも

[鄭氏は古里へ行こうとして地方職を辞めたが]

 

嚢無一物献尊親

嚢(ふくろ)には一物(いちぶつ)も尊親(そんしん)に献ずる無し

[袋の中には親族に捧げる物は何一つない]

 

江山路遠羈離日

江山(こうざん)の路(みち)は遠く羈離(きり)する日

[(古里までの)川や山は遠く旅立つその日]

 

裘馬誰為感激人

裘馬(きゅうば)の誰か感激の人と為(な)らん

[心を奮い立たせ援助する富豪は誰かいないか]

 

 

■注目点

鄭錬の人柄に注目。

鄭錬は赤貧に甘んじ、父母親族に孝養を尽くす人のようである。

地方職であれ、役人は報酬がある。財を巻き上げ、懐を肥やすことも可能。だが鄭錬は不法な事はせず、真面目な役人暮らし。蓄えは皆無。

鄭錬は役人を辞める。古里へ帰り孝養を尽くすため。蓄えは皆無だから、帰りは手ぶら。

杜甫は同情する。思いやりの心を起こす。だが杜甫も赤貧。何もしてやれぬ。誰か富豪はいないか。何もしてやれぬ自分が情けない。

「杜甫一生愁う」と評される杜甫。この詩も一生愁う一場面なのか。

 

《PN・帰鳥》