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酔著

2011.02.25

万里清江万里天
一村桑柘一村煙
漁翁酔著無人喚
過午醒来雪満船

 

作者は九二三年に亡くなった韓偓(かんあく)。詩の題は「酔著(すいちゃく)」。「酔いつぶれる」の意味。

 

■読みと解釈
万里清江万里天
万里の清江(せいこう)万里の天
[万里も遠く流れる清らかな川 万里も遥か広がる空]

 

一村桑柘一村煙
一村の桑柘(そうしゃく)一村の煙
[一つの村には桑や柘(やまぐわ)の木 一つの村には人家の煙]

 

漁翁酔著無人喚
漁翁(ぎょおう)は酔著して人の喚(よ)ぶ無し
[漁師の老人は酔いつぶれてしまい声をかける者は誰一人いない]

 

過午醒来雪満船
午(ひる)を過ぎて醒(さ)め来たれば雪は船に満つ
[昼を過ぎて酔いから醒めると雪が船いっぱいに積もっている]

 

 

■注目点
漁翁が酔いつぶれる前と後との状況の変化に注目。
酔いつぶれる前の状況は1句目と2句目。二つの万里は距離と空間を言い、二つの一村は異なる村の状況を言う。酔いつぶれる前の漁翁は明るく、のどかな、平和な状況下にいました。
酔いつぶれた後の状況は3句目と4句目。酔いつぶれた漁翁は前後不覚。近寄る人もいない。昼を過ぎてやっと覚醒。見ると辺りは雪一色。
酔いを境に状況が一変。状況の一変をどう読むか。この詩の注目はここでしょう。

 

《PN・帰鳥》