山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

酔いし後に張旭に贈る

2016.07.15

世上漫相識

此翁殊不然

興来書自聖

酔後語尤顚

白髪老間事

青雲在目前

牀頭一壷酒

能更幾囘眠

 

七六五年没の高適(こうせき)の「酔いし後に張旭(ちょうきょく)に贈る」。

 

■読みと解釈

世上漫相識

世上は漫(みだ)りに相い識(し)るも

[世の連中はやたらと顔見知りになるが]

 

此翁殊不然

此の翁は殊(こと)に然(しか)らず

[この張旭老人はやたらと顔見知りにならぬ]

 

興来書自聖

興(きょう)の来たれば書は自(おのずか)ら聖なるも

[興が湧くと書法は自ずと天下一品だが]

 

酔後語尤顚

酔いし後は語は尤(もっと)も顚(てん)なり

[酔った後は言語は無茶苦茶]

 

白髪老間事

白髪は間事(かんじ)に老い

[無駄な事して老いて白髪になり]

 

青雲在目前

青雲は目前に在りしや

[立身出世は目の前にあったのか]

 

牀頭一壷酒

牀頭(しょうとう)に一壷の酒

[寝台の傍には徳利一杯の酒]

 

能更幾囘眠

能く更に幾囘(いくかい)か眠れり

[この酒で何度も何度も眠ることができる]

 

 

■注目点

張旭に贈った内実に注目。

題によると、作者は酔っている。その場に張旭もいた。酔っ払いが酔っ払いに贈った詩。

作者は張旭を称えているのか。貶しているのか。

内実1。張旭の人づき合い。世の連中とは違い、人を見てつき合う。やたらとつき合わない。これ称え?貶し?

内実2。酔っ払い興に乗ると、手で書く文字は、人後に落ちぬ。グデングデンになると、口から出る言葉は、聞いてはおれぬ。これ称え?貶し?

内実3。出世は頭になく、酒びたり。今は老いて白髪。これ称え?貶し?

内実4。枕元には酒徳利。飲んでは寝、飲んでは寝る。これ称え?貶し?

呑兵衛の人生。称えられているのか。貶されているのか。自身の評価と他人の評価は違う。

 

《PN・帰鳥》