山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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酔いし後に口占す

2018.01.26

錦衣玉帯雪中眠

酔後詩魂欲上天

十二万年無此楽

大呼前輩李青蓮

 

一七六四年生まれの張問陶(ちょうもんとう)の「酔いし後に口占(こうせん)す」。口占は口ずさむ。

 

■読みと解釈

錦衣玉帯雪中眠

錦衣(きんい)玉帯(ぎょくたい)にして雪の中に眠り

[錦の衣服に玉の帯して雪の中に眠り]

 

酔後詩魂欲上天

酔いし後は詩魂(しこん)は天に上らんと欲す

[酔っ払った後の詩の魂は天に上らんばかり]

 

十二万年無此楽

十二万年も此(こ)の楽しみ無し

[十二万年もこの楽しみは味わったことがない]

 

大呼前輩李青蓮

大いに呼ぶ前輩(ぜんはい)の李青蓮(りせいれん)を

[大声で何度も先輩の李白の名を呼び続ける]

 

 

■注目点

張問陶は酔っ払っている。酔っ払った張問陶が何を口ずさむのかに注目。

張問陶は豪華な衣服を着て、雪の中で眠っている。素面ではなく泥酔して。人事不省。昏睡状態。詩の魂は天空へ。魂の抜け殻。魂が無くなると人は死ぬ。これ全て楽しいこと。こんな楽しいことは、十二万年も経験したことがない。十二万年とは大仰。大仰だが真実。

こんな楽しいことを経験した輩がいる。李白。青蓮は李白の号。杜甫は言う「天子呼び来たるも船に上らず、自ら称す臣は是れ酒の中の仙なりと」。李白になりたい。雪の中に眠る張問陶は李白の名を叫び続ける。

 

《PN・帰鳥》