山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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酒泉太守の席上にて酔いし後に作る

2019.01.18

酒泉太守能剣舞

高堂置酒夜撃鼓

胡笳一曲断人腸

坐客相看涙如雨

 

七一五年生まれの岑参(しかじん)の「酒泉太守(しゅせんたいしゅ)の席上にて酔いし後に作る」。酒泉は西域の甘粛省の地。太守は郡の長官。

 

■読みと解釈

酒泉太守能剣舞

酒泉太守は能(よ)く剣舞し

[酒泉太守は剣を持って舞う舞をする能力を持ち]

 

高堂置酒夜撃鼓

高堂に置酒(ちしゅ)して夜に鼓を撃つ

[立派な表座敷で酒盛りをし夜半に太鼓を打ち鳴らす]

 

胡笳一曲断人腸

胡笳一曲にして人の腸(はらわた)を断つ

[胡人の葦(あし)の笛を一曲奏すと人の腸が断ち切れ]

 

坐客相看涙如雨

坐客(ざきゃく)は相(あ)い看て涙は雨の如(ごと)し

[一座の者は見つめ合い雨のような涙を流している]

 

 

■注目点

宴席の情景に注目。

酒泉という西域の地で催した太守主催の宴席。芸達者な太守が剣舞に太鼓。宴席は盛り上がり、酒は回り一座の者は全員酔っ払う。

酔っ払うや、野蛮人が吹く葦笛が一曲流れる。途端に腸が断ち切れ、互いに見つめ合い、雨のような涙を流す。作者岑参も流す。嬉し涙ではない。悲しい涙。

野蛮人の吹く葦笛を聞くと、皆な腸が断ち切れ、悲しい涙を流す。

なぜ。葦笛は酒の酔いも醒まさせ、古里を思いださせる。漢軍に攻められた野蛮人は、漢軍に付け込み、古里を思いださせる葦笛を吹く。里心を誘う笛。

 

《PN・帰鳥》