山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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酒屋に立ち寄る

2016.04.29

対酒但知飲
逢人莫強牽
倚鑢便得睡
横甕足堪眠

 

五八五年生まれの王績(おうせき)の「酒屋に立ち寄る」。

 

■読みと解釈
対酒但知飲
酒に対(むか)えば但(た)だ飲むを知り
[酒に向き合うとただただ飲むだけ]

 

逢人莫強牽
人に逢うも強(し)いて牽(ひ)くこと莫(な)し
[人に会っても無理に誘わない]

 

倚鑢便得睡
鑢(ろ)に倚(よ)れば便(すなわ)ち睡(ねむ)るを得
[酒樽にもたれるや直ちに眠りの境地]

 

横甕足堪眠
甕(かめ)を横たうれば眠るに堪(た)うるに足(た)る
[徳利を枕にするや熟睡の境地]

 

■注目点
呑兵衛の動きに注目。
酒屋に立ち寄った呑兵衛。目の前の酒。見たとたん、呑兵衛は口に入れる。独りチビリチビリ。酒の味を楽しんでいる。ひたすら呑み続ける。
側にも呑兵衛がいる。その呑兵衛もひたすら呑んでいる。声はかけない。酒は独り楽しむもの。邪魔は禁物。邪魔が入ると、酒の味はまずくなる。
酔いが回った呑兵衛。呑む速度が落ちてきた。ロレツが回らず、辺りをジロジロ。眼はウツラウツラ。傍らの酒樽にもたれるや、直ちに眠りの境地。
呑兵衛は酒樽では間に合わず、徳利を倒して枕代わり。徳利を枕にして鼾をかき始めた。深い深い眠り。眼が覚めたのは何時だろう。
呑兵衛にしか判らぬ動き。帰鳥は判る。

 

《PN・帰鳥》