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酒を酌み裴迪に与える

2017.01.13

酌酒与君君自寛

人情翻覆似波瀾

白首相知猶按剣

朱門先達笑弾冠

艸色全経細雨湿

花枝欲動春風寒

世事浮雲何足問

不如高臥且加餐

 

六九九年生まれの王維の「酒を酌み裴迪(はいてき)に与える」。裴迪は親友。

 

■読みと解釈

酌酒与君君自寛

酒を酌み君に与えん君自(みずか)ら寛(ゆる)くせよ

[君に酒を注ごうくつろいで欲しい]

 

人情翻覆似波瀾

人情の翻覆(はんぷく)は波瀾に似たり

[人の情の変化は大波のよう]

 

白首相知猶按剣

白首の相知も猶(な)お剣を按(あん)じ

[白髪の知人も剣をさすってにらみ合い]

 

朱門先達笑弾冠

朱門の先達は弾冠(だんかん)を笑う

[貴人の先輩も出世を待つ後輩をあざ笑う]

 

艸色全経細雨湿

艸色(そうしょく)は全く細雨を経て湿い

[青々した草はそぼ降る雨で恵みを受け]

 

花枝欲動春風寒

花枝は動かんと欲するも春風は寒し

[花の枝は開こうとするが春風が冷たい]

 

世事浮雲何足問

世事は浮雲にして何ぞ問うに足らん

[世間の事は浮き雲と同じで相手にならぬ]

 

不如高臥且加餐

高臥(こうが)し且(か)つ餐(さん)を加うるに如(し)かず

[高枕し美食して元気に暮らすがいい]

 

 

■注目点

裴迪への王維の思い。

二人は今、酒を酌み交わしている。注いだり注がれたり。

王維が裴迪に注ぐ。注ぎながら言う。くつろぎ給え。心を大きくせよ。世間の人情は大きな波。高く低く、右へ左へ。定めがない。

世間を見るがいい。白髪になるまで交際した親友。親友同士が剣に手をかけ、にらみ合う。また高位高官の貴人が、冠の塵を払い、天子のお呼びを待つ若者を手助けもせず、あざ笑い無視する。

自然を見るがいい。道端の雑草。雑草だが色は青々。そぼ降る雨で恵みを受け、元気になる。また庭園の花枝。花枝の色は青々。冷たい春の風を受け、元気になれない。元気になる、なれぬは、環境次第。人間も同じ。

世間の事は定めない浮雲と同じ。フワフワフワフワ。浮雲相手は止め、枕を高くして寝、美味い物を食べ、楽しい暮らしをするがいい。

この時の裴迪は不遇だったのか。酒を飲みつつ、励ます王維。

 

《PN・帰鳥》