山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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酒に対す

2013.05.31

蝸牛角上争何事
石火光中寄此身
随富随貧且歓楽
不開口笑是癡人

 

七七二年生まれの白居易(はくきょい)の「酒に対す」。

 

■読みと解釈
蝸牛角上争何事
蝸牛(かぎゅう)は角(つの)の上にて何事を争うや
[カタツムリの角の上で何を争うのか]

 

石火光中寄此身
石火の光の中に此(こ)の身を寄す
[火打ち石の火花の中にこの身を預けているのだ]

 

随富随貧且歓楽
富に随(したが)い貧しきに随い且(しばら)く歓楽せん
[金持ちは金持ちらしく貧乏人は貧乏人らしく取りあえず楽しもう]

 

不開口笑是癡人
口を開きて笑わざるは是(こ)れ癡人(ちじん)なり
[口を開いて笑わぬ奴は馬鹿者だ]

 

 

■注目点
酒を前にして何が言いたいのか。ここに注目。
カタツムリの角の上は狭い場所。そんな狭い場所で争い事はするなと言う。
火打ち石は短い時間。そんな短い時間にこの命を預けていると言う。
カタツムリの角の上と火打ち石の火花。それは人間が住む場所であり、時間なのです。
狭くて短い。そこに命を預けている人間。
他人へ、或いは自分へこう呼びかけた後、お金があろうが、なかろうが、楽しむことだ。
口を開けて笑え。口を開けて笑わぬ奴は馬鹿者じゃ。
酒を前にしてのひと言。人生は窮屈で短命。大笑いして歓楽を極めよ。酔吟先生と号した白楽天の面目躍如。

 

《PN・帰鳥》