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郭給事に酬ゆ

2017.02.24

洞門高閣靄余暉

桃李陰陰柳絮飛

禁裏疎鐘官舎晩

省中啼鳥吏人稀

晨揺玉佩趨金殿

夕奉天書拝瑣闈

強欲従君無那老

将因臥病解朝衣

 

六九九年生まれの王維の「郭(かく)給事に酬(むく)ゆ」。郭は姓。給事は天子の詔勅を司る役職。

 

■読みと解釈

洞門高閣靄余暉

洞門の高閣は余暉(よき)に靄(かす)み

[奥深い高殿は夕日で霞んでおり]

 

桃李陰陰柳絮飛

桃李は陰陰として柳絮(りゅうじょ)飛ぶ

[桃や李の樹は茂って薄暗く柳の絮(わたげ)が乱れ飛ぶ]

 

禁裏疎鐘官舎晩

禁裏の疎(まば)らなる鐘に官舎の晩(くれ)

[官舎の夕暮れ時に宮中の鐘が響きわたり]

 

省中啼鳥吏人稀

省中に啼(な)く鳥に吏人(りじん)の稀

[役人もまばらな役所に鳥が啼いている]

 

晨揺玉佩趨金殿

晨(あした)には玉佩(ぎょくはい)を揺るがして金殿に趨(はし)り

[貴公は腰の帯び玉を鳴らし朝早く宮中に走り出仕し]

 

夕奉天書拝瑣闈

夕べには天書(てんしょ)を奉じて瑣闈(さい)に拝す

[夕方には天子の詔勅を捧げ持ち宮中に拝呈する]

 

強欲従君無那老

強(し)いて君に従わんと欲するも老を那(いか)んともする無し

[無理にでも貴公に従いたいがこの老いはどうにもならぬ]

 

将因臥病解朝衣

将(まさ)に臥病に因(よ)りて朝衣を解かんとす

[病気を理由に制服を脱ぎ辞職しようと思う]

 

 

■注目点

郭給事への王維の思いに注目。

郭給事は天子の詔勅を司る仕事。早朝から夜遅くまで、宮中へ出入りする仕事。

郭給事の役所は、幾重にも重なる、洞穴のような奥深い高殿。日暮れには霞んで見える。

桃や李の花は落ち柳の絮が飛び、鐘が鳴り鳥が啼く春も終わる頃。庶民は春を惜しむのに、郭給事は多くの役人が帰った後も、多くの役人が来る前も、黙々と忠実に仕事する。

王維は畏敬尊崇する。我が身に鞭打ち、追従したいが、この老体どうにもならぬ。病気を口実に引退するほかない。謙遜しつつ、郭給事を称賛する王維の思い。

 

《PN・帰鳥》