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郡の中にて事に即す

2019.07.26

紅衣落尽暗香残

葉上秋光白露寒

越女含情已無限

莫教長袖倚闌干

 

唐の羊士諤(ようしがく)の「郡の中にて事に即す」。羊士諤の生没年等は不明。郡の中の事を即興的に詠む。

 

■読みと解釈

紅衣落尽暗香残

紅(べに)の衣は落ち尽くして暗(ひそ)かな香も残(そこな)われ

[紅色の衣服の蓮の色はすっかり落ちてほのかな香も滅び]

 

葉上秋光白露寒

葉の上の秋の光は白き露にて寒し

[蓮の葉の上に射す秋の日も白い露も寒々している]

 

越女含情已無限

越(えつ)の女は情を含むこと已に限り無く

[越の美女たちはとっくに溢れる情感を心中に抱え込んでおり]

 

莫教長袖倚闌干

長き袖をして闌干(らんかん)に倚(よ)らしむこと莫(な)かれ

[長い袖の美女たちを手すりにもたれさせてはならない]

 

 

■注目点

言いたいことに注目。

命尽きた蓮。情感をずっと心中に抱え込んでいる越の美女たちが、その蓮を見たら愁い悲しみ、溢れるほどの情感が抑えきれなくなる。だから蓮を美女たちに見せてはならぬ。蓮を通して美女たちを憐れむ。言いたいのはこのこと。

言い換えると、盛りを過ぎた蓮を越の美女たちに見せると、美女たちの情感が抑えられなくなり、見せてはならぬ。見せてはならぬのは、天下の美女全員に通じるかも知れぬ。

蓮の音レンは恋のレンに通じ、男女関係の仲立ちをする植物を言い添えておく。

 

《PN・帰鳥》