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邯鄲の冬至の夜、肉親を思う

2010.12.17

邯鄲駅裏逢冬至
抱膝灯前影伴身
憶得家中夜深坐
還応説著遠遊人

 

題は「邯鄲(かんたん)の冬至の夜、肉親を思う」。邯鄲は地名。七七二年生まれの白居易(はくきょい)の作。

 

■読みと解釈
邯鄲駅裏逢冬至
邯鄲の駅裏(えきり)にて冬至に逢い
[邯鄲の宿場内で冬至の時節に会い]

 

抱膝灯前影伴身
膝を灯前に抱けば影は身に伴う
[膝を灯火の前で抱いていると影法師がわが身に寄り添う]

 

憶得家中夜深坐
憶(おも)い得たり家中(かちゅう)は夜深くなるも坐し
[思い浮かぶのだ 家中の者は夜が更けても眠らず座り]

 

還応説著遠遊人
還(ま)た応(まさ)に遠遊の人を説著(せっちゃく)すべきを
[遠く旅する私のことを話し続けているに違いないことが]

 

 

■注目点
旅先の冬至の日、家族に想いを致す作者の心情に注目。
作者は今、古里を離れ、邯鄲の宿場にいる。邯鄲は戦国時代の趙の都。この時代も古里を離れた旅人が、多く行き来していたのだろう。
その中の一人、作者は宿場の在るか無きかの明かりを前に、膝小僧を抱えひっそり座りこむ。すると明かりでできた在るか無きかの影法師が、わが身に寄り添っている。
それを見たとたん、古里の肉親に思いが及ぶ。夜が更けても寝ず、邯鄲にいる自分を話題にしているに違いない。そう思ったのです。「影は身に伴う」――寂しい表現です。

 

《PN・帰鳥》