山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

邙山

2012.11.30

北邙山上列墳塋
万古千秋対洛城
城中日夕歌鐘起
山上唯聞松柏声

 

七一四年に没した沈佺期(しんせんき)の「邙山(ぼうざん)」。邙山は北邙山とも言い、洛陽の北にあった墓地。

 

■読みと解釈
北邙山上列墳塋
北邙の山上には墳塋(ふんえい)を列ね
[北邙山の頂上には墓がずらり並び]

 

万古千秋対洛城
万古(ばんこ)千秋洛城(らくじょう)に対す
[大昔から洛陽の街に向かい合っている]

 

城中日夕歌鐘起
城中日も夕も歌や鐘起こるも
[洛陽の街中は昼も夜も歌声や鐘の音が起こっているが]

 

山上唯聞松柏声
山上唯(た)だ聞くのみ松や柏(かしわ)の声を
[北邙山の頂上では松や柏の音が聞こえるだけ]

 

 

■注目点
墓地の邙山と洛陽の街中の景の違いに注目。
邙山と洛陽は向かい合う位置にある。邙山は墓地で死者の居る所。洛陽は繁華街で生者の居る所。
邙山の死者は庶民ではなく、王や后や貴人。生前栄華を極めた連中。その連中の墓が列をなし、ずらり並んでいる。
繁華街の洛陽は当時の副都。栄華を極めた連中が住んでいる。今は一日中、歌や鐘でにぎわっているが、いずれは邙山の墓に入る連中。だからこそ今を楽しんでいるのか。
洛陽に向かい合う邙山には歌も鐘もない。あるのは墓守りをする松や柏が風に吹かれ、もの悲しい音を立てているだけ。
邙山と洛陽。生者と死者。対比に注目。

 

《PN・帰鳥》