山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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送別

2018.09.07

山中相送罷

日暮掩柴扉

春草明年緑

王孫帰不帰

 

六九九年生まれの王維(おうい)の「送別」。

 

■読みと解釈

山中相送罷

山中にて相(あ)い送りて罷(や)み

[山の中で相手を見送り終え]

 

日暮掩柴扉

日は暮れ柴扉(さいひ)を掩(おお)う

[太陽は沈みあばら屋をおおい隠す]

 

春草明年緑

春草は明年(みょうねん)も緑なるも

[春の草は来年も緑に茂るが]

 

王孫帰不帰

王孫(おうそん)は帰るや帰らざるや

[君は帰って来るのかどうか]

 

 

■注目点

主題に注目。

題は「別れを送る」。別れる場所は山の中。別れる時刻は日暮れ。別れる季節は春。送る人は作者王維。別れる人は不明。不明だが王孫。王孫とは王者の孫。王者の孫。その名は屈原(くつげん)。紀元前の楚の人。屈原は上司に才を妬まれ、楚王に箴言するや、箴言を聴き入れた楚王は、屈原を国外に追放する。追放された屈原は隠者の風をし、川に身を投じ自殺する。

山の中に住む王維が王者の子孫と別れ見送る。王者の子孫。この子孫を紀元前の屈原に準える。隠者の風をする屈原。入水自殺した屈原は、母国へ帰らなかったが、今別れ行く王孫は、わが王維の所へ帰って来るのかどうか。期待と不安。その感情を西の空に沈む太陽に託し、静寂・閑寂・寂然と表現する。悲哀ではなく静寂。主題はここにあるのでは。

 

《PN・帰鳥》