山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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辛夷塢

2014.04.18

木末芙蓉花

山中発紅萼

澗戸寂無人

紛紛開且落

 

六九九年ごろ生まれの王維(おうい)の「辛夷塢(しんいう)」。辛夷は花の名。こぶし。もくれん。定説はない。塢は土手。

 

■読みと解釈

木末芙蓉花

木末(ぼくまつ)の芙蓉(ふよう)の花

[こずえに咲く蓮の花が]

 

山中発紅萼

山中に紅萼(こうがく)発(ひら)く

[山の中で紅色の花がぱっと開いた]

 

澗戸寂無人

澗戸(かんこ)は寂として人無く

[谷川べりの家はひっそりとして人の気配もなく]

 

紛紛開且落

紛紛(ふんぷん)として開き且(か)つ落つ

[(花は)入り乱れて開いたり散ったりしている]

 

 

■注目点

辛夷の花咲く風景描写に注目。定説のない辛夷。今はこぶし、もくれんと言わず、辛夷を使うことにする。

前二句は、芙蓉の花を詠んでいて、辛夷の花ではない。しかしこの詩の題は「辛夷塢」。

とすると、芙蓉の花は実は辛夷の花で、辛夷の花を芙蓉の花に見立てているのでは。その狙いは辛夷の花は優雅で上品。そう言いたいのでは。

その辛夷の花が山の中でぱっと開いた。近くには谷川がある。側に家があるが無人。誰に見られるでもなく咲く辛夷の花。あちこちで開いたり散ったり。

独り静かに咲き散る辛夷の花。辛夷の花のような人間。どこかにいそうです。

 

《PN・帰鳥》