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越中にて古を覧る

2014.10.31

越王句踐破呉帰

義士還郷尽錦衣

宮女如花満春殿

只今惟有鷓鴣飛

 

七〇一年生まれの李白(りはく)の「越中(えっちゅう)にて古(いにしえ)を覧(み)る」。越は春秋時代の国。詩中の句踐(こうせん)は越の王。

 

■読みと解釈

越王句踐破呉帰

越の王の句踐は呉(ご)を破りて帰る

[越の王の句踐は呉を破って帰った]

 

義士還郷尽錦衣

義士は郷に還(かえ)るに尽(ことごと)く錦衣なり

[義士たちは郷里にもどる時みな錦の衣服を着ていた]

 

宮女如花満春殿

宮女は花の如(ごと)く春殿に満つるも

[宮女たちは花のように美しく春の御殿に満ちあふれていたが]

 

只今惟有鷓鴣飛

只今は惟(た)だ鷓鴣(しゃこ)の飛ぶ有るのみ

[只今現在はただ鷓鴣が飛び交っているだけ]

 

 

■注目点

越国をどう詠むか、詩作りに注目。

作者の李白はいま越にいる。七〇一年生まれの李白がそこに覧たのは、紀元前四七三年、句踐が呉を破ったこと。これが越の古。

越の古を詠む題材は、順に越王の句踐、越王に仕えた義士、越王に寵愛された宮女。三つの題材。ひと言で言えば、錦を着て凱旋。栄耀栄華。

だが李白の目の前にある今の越は、栄耀栄華ではない。あるのは悲しげに鳴き、飛び交う鷓鴣。盛者必衰。

李白は昔の越と今の越を比べ、深い感慨に耽り、世の無常を実感する。

 

《PN・帰鳥》