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西方の高殿で春に眺める

2016.04.22

日長風暖柳青青
北雁帰飛入窅冥
岳陽城上聞吹笛
能使春心満洞庭

 

七一八年生まれの賈至(かし)の「西方の高殿で春に眺める」。

 

■読みと解釈
日長風暖柳青青
日は長く風は暖かにして柳は青青たり
[日は長く風は暖かく柳は青々と芽吹いている]

 

北雁帰飛入窅冥

北雁(ほくがん)は帰り飛んで窅冥(ようめい)に入る
[北へ帰る雁は飛び大空の彼方へ消えた]

 

岳陽城上聞吹笛
岳陽(がくよう)の城上にて吹笛(すいてき)を聞くに
[岳陽城の高殿で吹き鳴らす笛の音を聞いていると]

 

能使春心満洞庭
能(よ)く春心をして洞庭(どうてい)に満たしむ
[笛の音は春の心を洞庭湖に満ち溢れさせている]

 

■注目点
高殿で見た題材に注目。北雁と吹笛と春心に注目。
北雁は北へ帰る雁。雁は秋に南へ行き、春に北へ帰る渡り鳥。賈至も北へ帰りたい。その思いを北へ帰る雁に託したのではないか。賈至が帰りたい北。それは古里か。長安か。
吹笛は吹き鳴らす笛。何処で誰が吹いているのか判らない。聞こえてくる笛の音。それで身も心も清められる。
春心は春の心。それは愁いに沈み、悲しむ心。心身を清めてくれる笛の音が、寂寂とした春の心を、洞庭湖に満ち溢れさせる。
3つの題材を巧みに使い、賈至の心境を詠む。賈至は今、不遇な状況にあるのではあるまいか。

 

《PN・帰鳥》