山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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襄邑の道中

2018.11.02

飛花両岸照船紅

百里楡堤半日風

臥看満天雲不動

不知雲与我倶東

 

一〇九〇年生まれの陳与義(ちんよぎ)の「襄邑(じょうゆう)の道中」。襄邑は当時の首都開封付近の地名。

 

■読みと解釈

飛花両岸照船紅

花を両岸に飛ばし船を照らして紅(くれない)にし

[紅色の花を両岸に散り飛ばし船を照らして紅色にし]

 

百里楡堤半日風

百里の楡(にれ)の堤(どて)に半日の風ふく

[百里も続く楡の花咲く土手を風に吹かれ半日で通過する]

 

臥看満天雲不動

臥(が)して満天の雲の動かざるを看るも

[仰向けに横たわり空一面の動かぬ雲をじっと見るが]

 

不知雲与我倶東

雲は我と倶(とも)に東するを知らず

[雲は私と一緒に東へ行くことを知っているか私は知らない]

 

 

■注目点

言いたい事に注目。

陳与義は船の中で、仰向けに横たわっている。船は東へ向かって動いている。

仰向けになり、空をじっと見る。空一面には雲。船に乗っている私は動いているのに、雲は動かずじっとしている。雲は私と一緒に東へ行くことを知っているのか。雲が知っているかどうか。私は知らない。

雲と私が一体ならば、雲が知らないのは許せない。雲が知らないのならば、雲と私は一体ではないことになる。一体どちらなのか。雲は私の心を知っている。私はそう思いたいのではないだろうか。言いたいのはこの事?

 

《PN・帰鳥》