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行宮

2013.06.28

寥寥古行宮

宮花寂寞紅

白頭宮女在

間坐説玄宗

 

七七九年生まれの元稹(げんじん)の「行宮(あんぐう)」。行宮は離宮。

 

■読みと解釈

寥寥古行宮

寥寥(りょうりょう)たり古(いにしえ)の行宮

[荒れ果てて寂しい昔の離宮]

 

宮花寂寞紅

宮花は寂寞(せきばく)として紅なり

[離宮の花は紅色に寂しく咲いている]

 

白頭宮女在

白頭の宮女在りて

[宮仕えしている白髪の女がおり]

 

間坐説玄宗

間坐(かんざ)して玄宗(げんそう)を説く

[静かに座り玄宗皇帝を説いている]

 

 

■注目点

離宮の描写に注目。

ここの離宮は玄宗皇帝(在位七一二~七五五)の御在所。玄宗は楊貴妃(ようきひ)を寵愛したが、楊貴妃は最期死を賜い、悲劇のうちに世を去った。作者の元稹からすると、六〇年ほど前のこと。

初めの三句には宮の字がある。行宮、宮花、宮女。行宮は寥寥と描写し、宮花は寂寞と描写し、宮女は白頭と描写する。三つとも寂しく暗い描写。何年か前は華やかで明るい離宮だったのに。今は寂しく暗い。

寂しく暗い離宮の、恐らく石段に腰かけ、玄宗を説く宮女の白髪女。玄宗の何を説くのだろう。楊貴妃を寵愛したこと。楊貴妃が死を賜わったこと。あるいは別のこと。

離宮の描写に注目だが、最大の注目は白髪の宮女。この宮女。玄宗のすべてを知り尽くしているかも…。

 

《PN・帰鳥》